● クリスチャンとして、イスラム教のことを知っておきたいと思って、「面白いほどよくわかる イスラーム」(青柳かおる・著 / 日本文芸社)と、「イスラム教入門」(中村広治郎・著 / 岩波新書)を読んだ。
・「イスラーム」という言葉には、道・教えという意味も含まれているので、教をとって、「イスラーム」というのが近年のイスラーム研究者の間で一般的となっている。
(アラビア語の発音に忠実に表現すると、長母音をつけて「イスラーム」となる。)
(回教・マホメット教という呼び方は、ほとんどされなくなってきた。)
・イスラームはともすれば、否定的な側面ばかりが強調され・歪曲され、偏見に満ちた表現で説明されることが多い。そのために、現代世界の深刻な諸問題の多くは、イスラームへの偏見とムスリム(イスラーム教徒)への蔑視によって、解決が遠ざけられていると言っても言いすぎではないであろう。
・世界第二位の宗教勢力を擁するイスラームを、客観的に理解することなくては、今日の世界を理解することは出来ない。
・現在の信徒数は、13〜16億人と推定される。
・イスラームは、アダムが創始し、アブラハムが確立した純粋な一神教に立ち戻り、ユダヤ教・キリスト教の誤りを正すものである。
ユダヤ教は、本来すべての人間に開かれている一神教を、イスラエルの民だけに限定してしまった。
キリスト教は、預言者であるイエスを神(神の子)と考え、神の唯一性を損なってしまった。
・「クルアーン」(コーラン)によると、アダムが最初の預言者であり、続いてノア・アブラハム・モーセ・ダヴィデ・イエスなどが派遣されたが、ムハンマド(570頃〜632)は、最後にして最大の預言者であり、「預言者の封印」と呼ばれている。
ムハンマド以降は、もはや預言者は現れない。なぜなら、イスラームは、それ以前の一神教の逸脱を正す最後で最大の宗教だからである。
・ムハンマドは、クライシュ族に属するハーシム家に生まれた。(570年頃)
25歳頃、雇い主である裕福な女商人のハディージャと結婚。
ヒラー山の洞窟にこもり、瞑想していた時に、神の啓示が下った。
632年、9人いた妻(生涯12人)の中の最愛の妻・アーイシャの膝の上で亡くなった。62歳位。
・アッラー(Allah)[アラビア語]は、al-ilah(アル・イラーフ / the god)の短縮形
・神から啓示された啓典は、「クルアーン」・モーセ五書・詩篇・四福音書。
・「クルアーン」(コーラン)とは、アラビア語で書かれたイスラームの根本聖典。
預言者ムハンマドが、最初の啓示を受けた610年から死の632年の22年間の折々に下された啓示を、預言者や周囲の人々が記憶しメモしていたものを、預言者の死後に集め、記録したものである。
・「クルアーン」は、アラビア語で神が語った言葉をそのまま、一字一句誤りなく・忠実に記録したと言われ、神聖視される。
それを別の言語に翻訳したものは、もはや神の言葉ではない。
・ムスリムの9割を占めるのが、スンニー派。他にシーア派など。
現代のスンニー派ムスリムの原理主義派は、ジハード(聖戦)を強調し、宗教と政治の分離を否定し、イスラム国家の樹立を強調する。
・「クルアーン」と「ハディース」(預言者ムハンマドの言行録)では、自他ともに肉体を傷つけること、および自殺は禁じられているが、ジハード(武装した異教徒に対する領土拡大・防衛の戦い)で戦死した殉教者は、楽園が約束されているとも述べられている。
現代では、その教えが悪用され、アメリカやイスラエルに対するイスラームの自爆攻撃が、戦術として行われ、後を断たない。
・イエス・キリストを、人間(犯罪者)と見れば ・・・・・ ユダヤ教
「神の子」と見れば ・・・・・ キリスト教
預言者と見れば ・・・・・ イスラーム
・金曜日の昼には、モスクで集団礼拝が行われる。
成人男子には、集団礼拝への参加が義務づけられている。
・イスラーム暦9月は「ラマダーン月」と呼ばれ、1か月の断食を行う。
太陽の出ている間は飲食を断ち、日没から夜明けまでは食事をとってもよい。
・豚肉と酒の禁止は、イスラームの食物規定として広く知られている。
・男女とも、貞潔を守ることが命じられており、肌の露出を慎むことが必要で、特に女性は、ヴェールや長い衣服を身につけて、顔や髪の毛・くるぶしなどを覆うようにする。
・イスラームでは、4人まで妻を持つことが認められている。しかし、公平に扱わなければならない。
・教会音楽もイコンも宗教画もないイスラームでは、キラーア(クルアーンの朗誦)とアラベスクの装飾文様が、唯一の信仰の芸術的表現である。
クルアーンは、その本来の意味(「読誦」)からもわかるように、もともと、記憶した者が周りの人々に声に出して朗誦するものであった。
※ まだまだ、いろんな角度から記してくださっているのですが、ここまでにしたいと思います。
クリスチャンである私には、とても信じられない世界ですが、それにしてもイスラームの皆さんは、すごいことを信じておられるわけなんですね。
イスラームの皆さんも、イエス・キリストのこと、キリスト教のことを、自分で調べてみてくださいネ。